便秘解消に効果的な水分摂取量!1日2リットルを飲み水で取ろう

人間が1日に排出する水分と目標としたい水分摂取量

便秘解消法の1つとして、日ごろから水分をしっかりとっておくことも大切です。

「健康のために水を飲もう」推進運動を行う厚生労働省によると、身体の約60%(成人男性の場合)が水分で、私たちが普通に生活しているだけで、人間の体からは1日合計2.5リットルの水が排出されると言われています。

食事中に摂取する量が約1リットルで、体内で作られる水分が約0.3リットル。
それらを合計すると約1.3リットルなので、1日に出ていく水分約2.5リットルを飲み水で補うには、約1.2リットルの摂取が必要となります。

1日の水分摂取量 1日の水分排出量
食事 1.0L 尿・便 1.6L
体内で作られる水 0.3L 呼吸や汗 0.9L
飲み水 1.2L
摂取量 合計 2.5L 排出量 合計 2.5L

厚生労働省ポスター「健康のために水を飲もう講座」 参照: 厚生労働省ポスター「健康のために水を飲もう講座」より

しかし、飲み水に関しては1日に摂取したい目標量を下回っている人も多いです。
体内の水分が少なくなると、脱水や熱中症など様々な症状が現れる他、排便にも影響が出てきます。

体内の水分が足りなくなると、便に必要な水分量が減って便が固くなり、便のかさも少なる事から腸内で便が移動しにくくなり、便秘の原因となります。

健康的に便秘を解消するためにも、人間が1日に排出する2.5リットル分を補うため、少なくても1.2リットル以上は飲み水から摂取したいものです。
ところが、普段からたくさんお水を飲んでいるのに、便秘が解消されない人もいると思います。

お水をたくさん飲んでいるのに、なぜ便秘が解消されないのでしょうか。
その理由も合わせて見ていきたいと思います。

便秘解消に目標としたい1日の水分摂取量と飲むタイミング

便をやわらかくするには、水をたくさん飲むことが大切です。
ただ一度に大量の水を飲むと尿となって排出されるため、こまめに水を飲むことが推奨されています。

まずは1日に飲んでいる水をあとコップ2杯(約400ミリリットル)ほど増やすことが推奨されています。

目安として、先ほど紹介した水分摂取量の目安は約1.2リットル程とされていますが、便秘がちな方は普通の状態より水分が不足している可能性が高いため、1.5~2リットルほどを目指すのが良いでしょう。

また水分を摂取するのに良いとされているタイミングですが、朝目覚めてからすぐにコップ1杯の水を飲むことが便秘に効果的とされています。

目覚めに飲む水は、消化管の動きを促進し、腸を動かすぜん動運動にも刺激になるため、朝のお通じにも繋がりやすくなります。
また入浴中や睡眠中にも水分は失われやすい状態になりますので、入浴後や起床後水を飲むことを習慣にしましょう。

厚生労働省ポスター「あと2杯、水を飲みましょう」 参照: 厚生労働省ポスター「あと2杯、水を飲みましょう」

水分を摂っても便秘解消しない?考えられる主な理由

	水分を摂っても便秘解消しない?考えられる主な理由

普段から意識して水分を摂っているのに便秘が改善しないと悩む方もいるのではないでしょうか。

そんな時はまず、普段の水分摂取の方法を見直してみることから始めましょう。

次に、水分を摂っているにも関わらず便秘が解消されない主な理由を紹介します。
ご自身の普段の生活において、あてはまるものがないか一緒に見直していきましょう。

オススメな飲み物は水、牛乳や飲むヨーグルトなど

一言に飲み物を飲めば良いいと言っても、お茶やコーヒーなどは利尿効果を高めるとされているため、飲みすぎには注意が必要です。

ただコーヒーには、ビフィズス菌などのエサとなるオリゴ糖が多く含まれており、腸内環境を整える働きもあります。
コーヒーに多く含まれるカフェインには大腸の運動を促す作用もあるとされているため、飲みすぎない程度に摂取する分には良いでしょう。

大体の目安としては、便秘時に1日2.3杯程度にしておきましょう。
※参考:女医が教える【便秘 解消法】(Oggi.jp)より

ネスレ日本「コーヒーと便通」 参照: ネスレ日本「コーヒーと便通」より

糖分の多いジュースで水分を摂るのも便秘対策としてはおすすめではありません。
ジュースの水分は身体に吸収されにくく、糖分も多いため肥満の原因になったり、血糖値を上げおしっこに行く回数が増えやすくなります。

他にビフィズス菌が多く含まれている飲み物の代表としては、牛乳やヨーグルトドリンクです。
ホットよりよく冷やした牛乳を飲むと、消化管が刺激され腸の動きも活発になります。
朝、起きてすぐにまず1杯飲むのがオススメです。

お茶やコーヒーは飲む量に気を付けて、日々積極的に摂っておきたいのは水やお湯、牛乳、飲むヨーグルトの他、豆乳などを摂取しましょう。

また飲み水として必要な水分は、何かを食べる際に一緒に摂取する水分とは別にするようにしましょう。

「水だけ」摂取しても便秘は改善しずらい

水分不足は便秘の原因のひとつですが、水だけを摂取していても便秘が改善しない可能性があります。
便秘を改善するには、水分を大腸まで届けるご飯や食物繊維が必要だからです。

水分はかなりの量が大腸で吸収されてしまいます。
そのため適度なやわらかい便を排出するためには、食物繊維を一緒に摂取することが大切です。

ダイエットなどで「水分は摂っているけれど、ご飯はあまり食べていない」状態だと、便のかさ自体が減っているため排便が促されない可能性があります。

また授乳中の方は、赤ちゃんにどんどん水分を摂られてしまいます。
そのためいつも以上に水分を摂るように心がけましょう。

水分と一緒に摂取したいのは「食物繊維」

便秘で悩んでいる場合は、いつもより多めに水分補給をするほか、合わせて食物繊維を摂るようにしましょう。

食物繊維には、水分を吸収して便をやわらかくしたり、便のかさを増やし腸を刺激し、ぜん動運動を活発にしたり、有害物質の排出を促すなどの働きがあります。

1日の摂取目標量は摂取エネルギー100キロカロリーにつき1グラムを目安に、女性18g、男性20g以上とされています。
※日本人の食事摂取基準(2015年版)、食物繊維の目標量:18~69歳

ところが平成27年に行われた国民健康・栄養調査結果によると、食物繊維の摂取量は10~40代でかなり少ないことが分かり、最も摂取量が多い60代でも目標量にわずかに達していません。

大塚製薬「食物繊維の摂取目標量」 参照: 大塚製薬「食物繊維の摂取目標量」

食物繊維は意識しないと摂るのが難しい栄養素ですので、毎日の食事で食物繊維を含む食材を積極的に摂っていきましょう。

食物繊維を多く含む代表的な食材は、玄米などの穀類、わかめなどの海藻類、イモ類、豆類、野菜ではごぼうやキャベツなど、果物ではバナナなどに多く含まれています。

また食物繊維には「水溶性食物繊維」と「非水溶性食物繊維」の2種類があります。
それぞれ発揮する効果が違いますので、自分の便秘のタイプに合った食物繊維を摂るのが良いでしょう。

水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は水分保持力が強いため、食べ物をどろどろの状態にしてくれます。
また人体に好ましくない物質を便として排出してくれるとされています。
非水溶性食物繊維
水分を吸収して膨れる性質をもっているとされています。
腸壁を刺激し、腸のぜん動運動を盛んにするといわれています。
そして食物の残りかすなどを体外に排出するとされています。

便をやわらかくしたい場合は「水溶性食物繊維」を、便の量を増やしたい場合は「非水溶性食物繊維」がおすすめです。

水分を摂らない人は便が固くなっている場合が多いので、まず水溶性食物繊維を摂るのがおすすめ。
もし便がゆるくなりすぎるなら、非水溶性食物繊維も加えバランスよく摂取しましょう。
1日だけ摂るのではなく、毎日の食事で意識的に摂るのがおすすめです。

ちなみに、水溶性食物繊維と非水溶性食物繊維の両方を含み、腸内環境を整える効果が高い食材として注目されているのが「キウイ」です。

キウイには2種類の食物繊維が含まれる 参照: Zespri Kiwifruit(キウイの食物繊維)より

お腹の調子を整え、糖の吸収をおだやかにする2つの食物繊維が豊富に含まれているため、積極的に摂取したい食材です。

水分や食物繊維と一緒に摂取したい乳酸菌

先ほども紹介しましたが、水分や食物繊維と一緒に、乳酸菌を摂取することも大切です。
乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えてくれるといわれています。

便秘によって腸内細菌のバランスが崩れると、便秘以外の不調も引き起こす可能性がありますので、腸内環境を整えるためにも乳酸菌は摂取しておきたい栄養素です。

腸の中で善玉菌が増えれば、腸の調子が良く免疫力も高く維持しやすくなります。
便秘で排出される便が少ない、または排便がない状態が続く場合は、腸内で悪玉菌が多くなっている可能性が高いです。

乳酸菌の摂取量を増やし、善玉菌を増やすことで健康な便を排出出来るようにしましょう。

身近で摂取できる乳酸菌には、ヨーグルトや乳酸菌飲料以外にも、漬物やしょうゆ、みそなどの食品にも乳酸菌が多く含まれていますので、おすすめです。
参考: フジッコ株式会社(乳酸品が含まれる食品)より

乳酸品が含まれる食品のイメージ画像

便秘解消に水分と一緒に摂取したい適度な油分

便の固さを決めるもうひとつの要素が「良質な油」とされています。
ダイエット中だからと油分をとらない人もいますが、便秘解消には適度に油分を摂取することを心掛けたいです。

オレイン酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸には、便のすべりを良くするといわれています。

特にオリーブオイルは小腸で吸収されにくいため、ゆるやかに腸を刺激し、ぜん動運動を促してくれる効果が期待できます。
大腸まで届き、潤滑油として働いてくれるため、積極的に食事に取り入れていきたい食材です。

このような働きをしてくれる脂肪酸は、主に「植物性油脂」に含まれています。
オリーブオイルやグレープシードオイル、ゴマ油などが植物性油脂です。

またゴマにも油が含まれています。
リノール酸が豊富であり、ゴマの外側の皮部分からは食物繊維が摂取できるので一石二鳥です。

便秘解消に水分の目標摂取量は1日2リットル!まとめ

便秘解消に水分の目標摂取量は1日2リットル!まとめ

  • 人間は1日に約2.5リットルの水が排出される
  • 飲み水の目標摂取量は1日1.2リットル。便秘時は1.5~2リットル
  • 利尿効果を高める飲み物(お茶、コーヒーなど)は飲む量に気を付ける
  • 「水だけ」摂取せず食物繊維を積極的に摂る
  • 水分と一緒に乳酸菌も取り腸内環境を整える
  • 水分と一緒に適度な油分も摂取する

便秘を解消する手段としてすぐに行えるのが水分補給です。
ただしお茶やコーヒー、アルコールなどは利尿効果があるとされているため、水分補給にならない場合もあります。

そのためミネラルウォーターやお湯などの水をしっかり摂取しましょう。
また便秘解消には水分だけでなく、食物繊維や乳酸菌、油などを含んだバランスのよい食事をとることも大切です。

いくら水だけ摂っていても、便のかさが足りなかったり、スムーズに排便するための要素や油分がなければ、なかなか便秘解消には繋がりにくいでしょう。
水分補給と、普段の食生活なども合わせて見直しながら、便秘解消を目指しましょう。