アロマオイルのリラックス効果で自律神経の乱れを整える
便秘には、ストレスなどによる自律神経の乱れから起きる「痙攣性(けいれんせい)便秘」と呼ばれるタイプがあります。
自律神経の中でも副交感神経が過度に興奮し、大腸が過剰に緊張した状態から便がうまく運ばれずに、コロコロした便が出るタイプの便秘です。
食後にお腹が痛くなったり、便が出ても残便感がある、便秘と下痢を繰り返すことも多いです。
便秘が続くと腸内の食べ物が腐敗し、有毒物質が発生します。
この状態が長く続くと、身体の不調だけでなくただでさえストレスを抱えているのに、精神的にも気分が重くなってしまい、食欲にも影響していきます。
このタイプの便秘を解消するには、原因となっているストレスを軽減したり、自律神経を整えることが大切です。
とはいえすぐにストレスを取り除くことは中々難しい場合もあるでしょう。
そこで今回は、アロマオイルによるリラックス効果で自律神経の乱れを整え、ストレス性便秘(痙攣性便秘)の解消に関する話をご紹介します。
参考: くすりと健康の情報局「便秘の症状・原因」より
アロマオイルの香りがストレス性の便秘に効果的な理由
実はアロマオイルはストレスから来る便秘への解消法として効果的といわれています。
アロマオイルの香りには、人をリラックスさせる作用がありますが、それは自然成分の「香り」に、様々な作用を持つ成分があるからです。
アロマオイルは、植物の花、葉、実、茎、根、樹皮などから抽出した天然香料・精油(エッセンシャルオイル)に、合成香料を入れ香りを生むオイルです。
「エッセンシャルオイル」は、合成香料が入っていない自然成分100%の精油のことです。
エッセンシャルオイルは肌に塗ってマッサージをしたり、エステなどの美容目的で使用されることもありますが、アロマオイルは主に香りを楽しむために作られたもので、香水や化粧品、食品に添加する香料などにも活用されます。
植物から抽出した香り成分の精油(エッセンシャルオイル)を使ったアロマテラピーは、心や身体のトラブルを緩和し健康や美容をサポートしてくれる芳香療法とも言われています。
人間の大脳には、理性を司る外側の「大脳新皮質(新しい脳)」、感情や本能、記憶を司る内側の「大脳辺縁系(古い脳)」があります。
視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚、5つの感覚のなかで、嗅覚だけが唯一、「大脳辺縁系(古い脳)」を直接刺激することができます。
ですからアロマの香りを嗅ぐと、芳香成分が鼻の奥にある嗅細胞を刺激し、その刺激が脳(大脳辺縁系)や視床下部、下垂体に伝わります。
この場所は自律神経やホルモンバランス、免疫系など全身の機能を司っている場所で、香りによる刺激によって怒りや悲しみなど一時的で急激な感情の動き(情動)に反応を起こしやすいとされています。
匂いを嗅いで「懐かしい」「心地よい」「お腹が空いた」などと感じるのは、「嗅覚」から直接「大脳辺縁系(古い脳)」が刺激され、反応しているためです。
また、芳香成分(香り)は呼吸を通じて肺に取り込まれ、血流に乗って全身の組織や細胞に運ばれます。
芳香成分は分子が小さいため、皮膚の奥にある毛細血管にまで浸透します。
そして毛細血管を流れる血液にのって、全身の筋肉や器官にも運ばれます。
先ほどもお伝えした通り、アロマの芳香成分は電気信号へ変化し、脳の大脳辺縁系、視床下部、下垂体へ伝わります。
この中の「視床下部」は、自律神経やホルモンのバランスを司るとても大切な器官です。
アロマの香りが視床下部に直接働きかけることで、自律神経やホルモンバランスを整え、ストレスの軽減にも役立ちます。
よって自分が好きな香りやリラックスできる香りを嗅いで、自律神経やホルモンバランスが整い、副交感神経(夜に優位になるリラックスモードの神経)が優位になれば、身体の緊張がほぐれ、気持ちが落ち着き、心身共にリラックスすることができます。
そういった仕組みなどから、身体の状態とアロマオイルの作用が合えば、便秘などの身体の不調への効果を感じる事が出来るのでしょう。
参考: Wikipedia「アロマオイル」より
参考: くらしとアロマ「アロマの香りで心や体がリラックスするメカニズムは?」より
参考: フジ医療器「ストレス解消方法-アロマテラピ-」より
ストレス性便秘の解消に効果が期待できるアロマの種類や作用
ストレス性便秘の解消に効果が高い香りはいくつかの種類があります。
早速紹介したいと思いますが、一番のポイントは自分がリラックスできる好きな香りを選ぶことです。
香りによって効果があるからと、自分があまり好きでない香りを選ぶのはおすすめできません。
自分の好きな香り「良い匂い」と感じられるからこそ、リラックス効果が高まるため、『この効果が効いて欲しいから!』と無理に自分好みでない香りを選ぶのはやめましょう。
人は気分やその時の体調によっても「良い香り」と感じるものが変わってきますので、その時一番良いと思うものを選ぶようにしましょう。
◆ ペパーミント(幅広い効果があり、色んなシーンで頼りになる)
古来より消化器系・胃腸の調子が悪い時に用いられてきたといわれています。
日本では「メンタ湿布」といって、ハッカ油を垂らしたお湯にタオルを浸し、おなかに貼り付けていました。
人によってはミントの香りを嗅ぐだけでも腸の動きが良くなるともいわれています。
スポーツのあとなどの筋肉痛にも効果があるといわれています。
参考: アロマオイル辞典「ペパーミントの効果・効能とおすすめの使い方」より
◆ フェンネル/ウイキョウ(胃腸の気の流れをスムーズにする)
料理にも使われるハーブの一種です。
スパイシーな香りが特徴で、市販の胃腸薬や漢方薬などにも使われています。
腸の働きをよくし、便通を促進する働きがあります。
こちらもアロマバスやアロマシップなどが市販にありますので、試してみると良いでしょう。
体毒を取り除き、利尿効果もあることから、ダイエットにもおすすめです。
参考: Timeless Edition「フェンネルの効果効能」より
◆ ローズマリー(心臓の拍動を強める働きがあり、低血圧や手足の冷えに効果的)
新鮮な草木の香りが特徴的で、こちらも料理に使われることのあるハーブの一種。
血行を良くし、腸内に溜まったガスを排出してくれ、消化を促進してくれるといわれています。
心身を活性化する働きにも作用するため、集中力をアップしたいときにもオススメです。
参考: Timeless Edition「ローズマリーの効果効能」より
◆ スイート・マジョラム(心と体のバランスを保ってくれる)
料理用ハーブとして人気があり、香りもハーブ独特の香りがします。
冷えを緩和する効果が高く、冷えが原因で起こる下痢・便秘・胃腸の不調におすすめです。
また過剰な食欲や性欲などの欲を抑えてくれる香りでもあり、古代ギリシャでは薬用に使われていました。
神経を休め、心身がゆったりできるアロマで、寝不足に体力回復として活用するのもオススメです。
参考: Timeless Edition「スイート・マジョラムの効果効能」より
◆ ベルガモット(ストレス緩和・うつ予防・消化器系を活性化)
爽やかな柑橘系の香りが消化を促進し、消化器官の調整を行ってくれるといわれています。
男女ともに好まれる香りで、何となく気分がすぐれない、胸がむかつく、食欲がない時など、不安や精神的疲労を和らげる効果が高いです。
ストレスによる食欲不振や便秘など消化器系のトラブルにも役立ちます。
ただ1点、ベルガモット系のオイルの中には、肌についた状態で紫外線にあたると、皮膚にダメージを与える「光毒性」という作用を持つタイプもありますので、肌に使う場合は使用方法に注意しましょう。
参考: tutuAntenna「いい香りで体に嬉しい効果があるって知ってた!?快適アロマ生活♪」より
◆ ブラックペッパー(体を温めてくれる効果が高い)
少し意外かもしれませんが、体を温めてくれる効果が高いといわれています。
胃腸の働きを高める効果があり、胃腸の冷えが原因の、腹痛や嘔吐、下痢、お腹のハリなど、「〇〇不良」と言った様々な不調におすすめです。
体重を減少させるためにも使用できるため、ダイエット中にもおすすめです。
温め、気の巡りを良くすることから、関節痛や筋肉痛、肩こりや腰痛などの傷みにも効果的です。
参考: Timeless Edition「ブラックペッパーの効果効能」より
便秘解消にアロマオイルを効果的に使う方法や、使用のタイミング
アロマオイルには、様々な活用方法がありますので、ここで紹介する使用方法以外にも、自分が心地よいと思える方法を試してみてください。
まずはその日の体調に合わせ、自分が好きだと思える香りを選びましょう。
特に自宅でリラックスできる時間に使うのがおすすめです。
ストレス性などの便秘を解消する目的に使うのであれば、先ほどご紹介したアロマの種類はどれもオススメですが、特にベルガモットやフェンネル(ウイキョウ)は消化器系の機能促進作用や、腸の働きをよくし、便通を促進する働きがあるためオススメです。
アロマ湿布は自宅で簡単に作れるので初心者にもおすすめ
アロマオイルは香りを楽しむものですが、辛い症状がある箇所に当てて使用するアロマ湿布というものもあります。
自宅で簡単に作ることが出来ますので、自分のお気に入りの香りがあれば、アロマオイルの楽しみ方の1つとしてもおすすめの方法です。
アロマオイル(アロマの精油)のもつ鎮痛作用や血行促進作用、抗炎症作用などの薬理作用が体にやさしく働きかけ、肩こりや生理痛、冷え、腰の痛み、関節の痛みなどの辛い症状をやわらげます。
血行を良くする効果があるため、お腹周りに使えば胃腸を温め、腸の活動にも働きかけてくれます。
具体的な使い方としてはまず、おなかに温かいタオルを置き、血行を促進します。
洗面器に適温のお湯を入れて、アロマオイルを1~3滴垂らします。
そこにタオルを入れて絞ったあと、おなかに乗せましょう。
お湯の温度や肌の状態に合わせて行います。
アロマオイルが直接肌に触れると炎症を起こす場合がありますので、肌が弱い方は注意しましょう。
参考: Tea-treeの森「エッセンシャルオイル(精油)の使い方 - 温湿布・冷湿布」より
市販のアロマ・ディフューザーを使う
手軽にアロマオイルを楽しめるように、アロマディフューザーやアロマポットなども販売されています。
こちらを使えば簡単にアロマの香りを自宅で楽しめます。
アロマディフューザーとは、主に部屋の中などでアロマオイル(精油)の香りを楽しむための器具です。
基本的にオイルは別売りですが、商品の種類によって香りの拡散方式や、運転時間などが変わります。
中には加湿機能があるタイプや、お休み前に使用できるよう、タイマー機能を持ったタイプなどもあるので、ご自身の生活スタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。
Miserweアロマディフューザー(Amazon.co.jp より)
アロマバスにしてリラックス効果を高める
アロマバスとはその名の通り、お風呂にアロマオイルを数滴垂らして香りを楽しむ方法です。
湯船に入り、アロマオイルの香りを感じる事で、身体の外・内側両方からリラックス効果を高める事ができます。
また洗面器に数滴垂らして、足湯や手をつけて楽しむのもおすすめです。
よくかき混ぜてから入りましょう。
ただアロマオイルによってはお風呂で使用できないものもありますので、購入の際にはよく確認するようにしましょう。
オイルがお肌に合わない可能性もありますので、少しでも異変を感じたら使用をやめたり、お近くの病院で診てもらうようにしましょう。
忙しい時にも手軽に!アロマオイルをティッシュペーパーに垂らす
忙しい時に手軽に行えるのが、ティッシュに垂らす方法です。
1~2 滴ほどティッシュに垂らし、それを嗅ぐだけでもリラックスした気分になります。
またマグカップに熱めのお湯を入れて、1~2滴垂らす方法もあります。
ただ、自分が良いと思っている香りでも周りの人には不快に感じる事もありますので、使用する際は周囲に気を配るようにしましょう。
アロマオイルで心身ともにリラックスしよう!まとめ
- アロマオイルはストレスからくる便秘に効果が高い
- アロマオイルが体にもたらす効果は医学的にも証明・活用されている
- アロマオイルのリラックス効果で自律神経の乱れを整える
- アロマオイルを選ぶときは自分の好きな香り、落ち着く香りを選ぶ
- アロマオイルは自宅でリラックスできる時間に使うのがおすすめ
- レモンやフェンネル(ウイキョウ)は消化器系・腸の働きをよくする働きがある
- 身体に使う場合は使用できるオイルか確認する
アロマオイルの香りで便秘解消できるの?と思う方もいるかもしれませんが、実は香りが身体にもたらす効果に関しては、医学的にも証明・活用されていることが多いです。
総合医学の観点に基づく芳香療法として統合医療に役立てようと、医療や福祉の現場では「メディカルアロマセラピー」の導入も進んでいるほどです。
「メディカルアロマセラピー」は精油学、基礎医学、心理学など専門知識がある人のみが扱えるもので、精油が持つ薬理効果を様々な治療に役立てたり、自然治癒力を高め心身を健全な状態へ導くこと。
参考: メディカルアロマセラピー「日本統合医学協会」より
まず自分で出来るアロマオイルの楽しみ方としては、好きな香り、リラックスできる香りを見つけ。自分の部屋やバスタイム中などに楽しむのが良いでしょう。
最近、便秘気味だけど、そういえば疲れ気味だな、ストレスを感じるな、癒されたいなと思っている時は、日常生活に好きな香りを取り入れて心身ともにリラックスし、ぜひ便秘解消に役立ててみてはいかがでしょうか。